TIFF TOKYO INTERNATIONAL FILM FESTIVAL 第25回東京国際映画祭 2012.10.20-28 www.tiff-jp.net

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2012/10/24

「この仲間に出会えたことが光栄です」――10/21(日)コンペティション『フラッシュバックメモリーズ 3D』:Q&A

フラッシュバックメモリーズ 3D

10/21(日)コンペティション『フラッシュバックメモリーズ 3D』の上映後、松江哲明さん(監督)GOMAさん(出演・ディジュリドゥ・アーティスト)、高根順次さん(プロデューサー)が登壇、Q&Aが行われました。 フラッシュバックメモリーズ 3D
©2012 TIFF
  矢田部PD:まずGOMAさん、ご覧になった感想をお聞かせください。   GOMA: なんか、もう……(場内拍手)……この仲間に出会えたことが光栄です(号泣)。   矢田部PD:監督、改めてGOMAさんに一言お願いします。   松江監督:ほんとにGOMAさんには有り難うございましたとしか言えないですね。なぜ3Dなのか、どうしてこんな作品になったのかとかよく聞かれるんですが、正直GOMAさんと出会ったから。それに尽きます。映画に出てくる震災後のライブの時にはじめて演奏を聴きましたが、その帰り道に高根プロデューサーには3Dで撮りたいと伝えました。SPACE SHOWER TVの番組の予算内で作るという話でしたから、自分でも無理を言ってると思いましたが、希望を伝えて高根さんがどう動いてくれるかも含めて、挑戦したかった。いまのGOMAさんの言葉を聞いて、出会いで始まった映画なんだと思いました。 フラッシュバックメモリーズ 3D
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  矢田部PD:『ライブテープ』を観たときに音楽映画の金字塔だと思ったのですが、この作品を観たときには日本映画の金字塔だと思いました。独創的かつ画期的な作品だと思います。監督は3Dバージョンの完成形を観るのは今日で2回目とのことですが、高根プロデューサーに3Dにしたいと伝えた当初と完成した作品では、どの程度変化がありましたか?   松江監督:こういうかたちにしたいというのはありましたが、スタッフが非常に独創的なアイデアを出してくれました。5.1ch.の音響で、3Dでここで飛び出すというのを想定して作っていったので、これはもうスタッフの力です。3Dがこんなにディジュリドゥに合うというのも合成の現場で初めて気づいたことで、3D眼鏡をかけて見ると、飛び出したところに焦点が合って驚いた。すごい立体感だと。僕が撮影時にした演出というのは、最後にGOMAさんが吹く時に、「カメラに向かって吹いてください」と言っただけで、あとはほんとにスタッフのおかげです。感謝しています。   Q:どんな音楽よりも、映画よりもよかったです。凄い体験でした。とにかく、ずっと吹きまくりですよね。   GOMA:循環呼吸法というやり方で吹いています。 フラッシュバックメモリーズ 3D
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  Q:GOMAさんの音楽を聴いたのは今日が初めてですが、これからはライブに行きますので宜しくお願いします。忘れていたらまた挨拶しますね(笑)   松江監督:たぶん覚えていると思いますよ(笑)   GOMA:……(苦笑)   矢田部PD:この作品には3.11以降の松江監督なりのビジョンが投影されていますね。とりわけ、今を生きるというメッセージが色濃く出ていると思いました。   松江監督:撮影前に打ち合わせを兼ねて何回かGOMAさんの家に伺いましたが、たぶんGOMAさんは前に僕と会った時のことを憶えていない。それでも監督と呼んで下さり、前の時と話がつながるように対応してくれました。GOMAさんの日記を読んで、それがどんなに難しいことなのか知っていたから、GOMAさんが何回も日記を読んだり、その時に撮った写真を見たりして、覚えてくれているのが伝わってきた。日記には僕のなかに強く残る言葉があって、それはこの映画に残してあります。震災後にGOMAさんの音楽と出合ったという、その独特な空気感がこの映画には流れています。奥さんのすみえさんとGOMAさんの日記にはもっといろんな体験が書かれていますが、あくまでも僕がまとめたかたちということでご理解ください。そうした意味で言うと、震災後にこの映画を作っていることが僕の支えとなりました。GOMAさんの「今を生きる」という言葉の強さから、僕自身も力をもらいました。   Q:ライブを見てすぐに3Dの映画化を思い立ったとのことでしたが、その時に時系列の構成はすでに意識していたのでしょうか。また、こうしたドキュメンタリーを作る場合、当事者の苦境に対する配慮が必要になります。そのことに関して、監督はどんな対応をされたのですか?   松江:まず2つ目の質問から答えますが、最初、高根プロデューサーから病気の人と聞いたのですが、実際にライブを聴いたら、障害を抱えていても、やっぱり音楽の人だと感じました。もしそこで病気の人として理解していたら、3Dで撮っていなかったはずです。本人や周囲の人にインタビューして、2Dによる一般的なドキュメンタリーを目指していたと思います。GOMAさんの音楽とライブの高揚感を伝えるためには3Dがいいし、さらに3DならGOMAさんの記憶も同時に描けるのではと思いました。最初の質問ですが、ここに映っている映像に関しては、GOMAさん自身が実は「ジャングル大陸」というセルフ・ドキュメンタリーを作っていて、首都高速での事故は、そのドキュメンタリー・フィルムのデータを受け取りに行ったときに遭ったものです。僕はその映像を見てGOMAさんの歴史を知ったわけで、時系列の映像部分はほとんどそこから作ることが出来ました。   矢田部PD:GOMAさんは映像に対していまも興味をお持ちですか?   GOMA:いま監督がおっしゃったように、自分で10周年の映像をまとめていて、そのデータを受け取りに行ったときに事故に遭いました。いまは自分の過去を知るための資料として活用しています。一昨日までオーストラリアに行って、むかし訪れた場所を確認してきました。映像や写真で自分が生きてきたことを記録していく作業は、人間の本能的な欲求だと思います。僕たちのような障害を負った人間にとっては大きな助けとなり、勇気になります。できるだけ多くの映像や写真を残すようにしていますが、それは失った脳の機能を外部でカバーするためであり、生きていくための手段のひとつとしてです。   Q:何回かライブに行ったことがありますが、今回はいつもと違った環境で、また大きな感動をもらいました。以前、MCで家族の支えが励みになったと話していましたが、この映画を観て、奥さんはどんなふうに言われると思いますか?   GOMA:人の付き合いというのは長い方がいいですね(笑)。事故なんて、いつ誰に起きるともわかりませんから。今日の帰りに誰か事故に遭うかもしれない。そうなったときに、付き合いが長いとカバーできる部分がたくさんあるんですよ。クセや思考パターンとか、長い時間一緒に過ごしていれば、そのぶん、同じ記憶を共有しているわけですから。特に脳に傷を負ったりしたら、話していることにも不思議なところが出てくる。家族や友人、仲間がいて、変化にすぐに気づいてもらえたら、素敵な人生になると思います。   矢田部PD:松江監督、最後に一言いただけますか?   松江:これから映画が育っていくんだと思います。今後、上映する環境が変わっていくなかで、この映画をどう育てていけばよいのかベストを尽くして考えていきますが、皆さんの力添えがあれば励みになります。可愛がって育ててくれたら、うれしいです。   高根:26日金曜に映画祭で上映した後は、11月23日に映画を撮影した渋谷wwwで記念ライブを開催します。この映画を映像素材に使ったライブになるので、宜しければぜひ足を運んでください。また、吉祥寺バウスシアターで開催される爆音映画祭でのクロージング上映(2012年11月16日)も決まりました。一般封切は来年(2013年)1月中旬、新宿バルト9になります。この映画は作るのが大変で僕も2~3回心が折れそうになりましたが、松江監督とスタッフには本当に助けてもらいました。特に地獄の追い込みで3D合成を手伝ってくれた渡辺知憲さんには、この場を借りて感謝の気持ちを伝えたい。ありがとうございました。お世話になったスタッフのためにも、ひとりでも多くの人にこの映画を体験してほしいと思います。身近な友人や知人で結構ですので、広めてくれたらうれしいです。 フラッシュバックメモリーズ 3D
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